インフルエンザ
有給?休業手当?職場の適切な対応とは
毎年のように職場を悩ませるインフルエンザの流行。
突然の発熱で出勤できない、同僚が感染して自宅待機に―そんなとき、頭をよぎるのが
このお休みって何?「欠勤?有給?休業手当!?」
いざという時、どのように対応すべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
インフルエンザと就業のルール、そして職場の適切な対応についてお伝えします。
■インフルエンザでお休みした場合の扱いは?
一般的には、厚生労働省が推奨している発症後5日かつ解熱後2日の休養期間は「本人の申し出により、有給休暇を充てる」形で運用されることが多いです。
有給休暇が残っていない、もしくは無い場合は「欠勤」となり、給与の支払い義務はありません。
ただし、「使用者の責に帰すべき事由による休業」とみなされた場合は、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払い義務が発生するため注意が必要です。
■「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは?
特に争点となりやすいのが、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するかどうかです。
| 労働基準法 第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。 |
つまり、インフルエンザによる欠勤が、この「使用者の責に帰すべき事由」に該当すると判断されると、企業側は休業手当の支払い義務が生じることになります。
「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するケースとは?
労働者本人に労働の意思と労働能力がある(働きたいと思っており、働ける健康状態にある)場合にもかかわらず、会社都合(企業の経営判断や施設の事情など)で、労働者が働けなくなった場合を指します。
インフルエンザに関しては、以下のような状況が該当すると考えられます。
| 〇該当する可能性があるケース
・会社が季節性インフルエンザの感染を理由に、法律上の強制力が無いにもかかわらず、社員に出勤停止を命じた場合 →休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要 |
| ✕該当しないとされるケース
・労働者自身が高熱や感染症状により自発的に欠勤した場合 →「有給休暇」または「欠勤」扱い |
いわゆる自然災害のように会社の不可抗力による休業は、休業手当の支払義務はありません。ただし、労使関係に配慮して支給することもあります。
■こんなときはどうしたらいい?
■適切な対応のために企業ができること
インフルエンザ・ハラスメントを行わないこと
インフルエンザ・ハラスメントとは、以下のような状況を指します。
・インフルエンザの診断を受けているにもかかわらず、出社を強要をする
・「感染の疑いがある」という理由だけで、周囲がその社員を避けたり、業務から外す
・自主的に休もうとする社員に対し「自己管理が出来ていない」と非難する
このような対応は、職場の衛生管理上も、ハラスメント防止の観点からも不適切です。
社内ルールの周知
発熱や感染の疑いがある社員には、出勤を控え、状況によりテレワークや休暇取得を奨励します。「休むと評価が下がる」「周囲に迷惑をかけたくないから」と言った理由で無理に出勤してしまうことがないよう、あらかじめ会社の方針を周知し、安心して休める社内風土を整えておくことが重要です。
柔軟な休暇制度の創設や予防接種補助など
たとえ、休業手当の支払い義務の無いケースであっても、労使間の良好な関係を維持するために、こういった場合に使える特別休暇の創設、予防接種の費用補助など、従業員が無理をせずに体調と向き合える制度づくりをしておくことも職場定着につながります。
☀まずは、基本の感染対策から!

インフルエンザ対策も、制度やルールも大事ですが――
やっぱり「手洗い・うがい・休養」がいちばんの基本です!
そして「体調が悪いときは、お互いさま」
そんな安心できる職場づくりを目指したいですね。