ワクチン休暇?!

お役立ち情報第三弾は、おそらく人事労務担当の方が気になっているであろう
「新型コロナウイルスのワクチン接種に関連してお休みは付与するべき?」という話題に触れていきます。

マッテマシタ+。゚(`-ω-*)b

ワクチン休暇、取れる?取れない?

ワクチン接種が始まる中、河野行政・規制改革相は2021年5月28日、公務員のワクチン休暇を推奨する旨を発表しました。

現状、ワクチン休暇についての法定休暇を定めた法律等はありませんが、従業員が新型コロナワクチンを接種しやすいように接種日や副反応が出たときに活用できる、特別休暇などを認めている企業が増えています。さらに、家族のワクチン接種の付き添いや体調不良の看病に対応している企業もあります。

(・0・。) ホゥホゥ

法定休暇と特別休暇の違い

まず、上記で触れた法定休暇と特別休暇とは何かというところから確認していきましょう。

法定休暇とは、法律で定められた休暇のことで会社は従業員に必ず休暇を与える義務が生じます。例えば、法定休暇の代表である年次有給休暇は、入社日から6か月以上経過していて、全労働日の80%以上出勤した場合に付与されるもので、休んでも働いたとみなして給料が払われます。法定休暇の中でも、生理休暇・育児休業・裁判員休暇など、有給にするか無給にするかを企業の判断で決めることができるものもあります。

一方で、特別休暇(法定外休暇)とは、企業が独自に定めた休暇で、法律上絶対に与えなければいけないという義務はありません。例えば、リフレッシュ休暇や結婚休暇などは法定外休暇であり、これらは会社独自の福利厚生として用意された休暇です。法的な義務がない法定外休暇なので、それを有給にするのか無給にするのかは、もちろん会社が自由に決めることができます。

今のところワクチン休暇という法定休暇はありません。仮にこれから新しく法定休暇として定めようとしても、法改正が必要なので、直ぐに変更するのは難しいのが現実です。そのため現時点では、企業独自の特別休暇で対応する必要があります。

ワクチン休暇が必要とされる主な理由は次の2つです。

1⃣混雑が予想される週末や時間帯を避け、スムーズに接種できるようにするため

休日が土日祝日という企業が多いため、土日祝日や平日の終業後に予約が殺到する可能性があります。そうすると予約が取りづらかったり、会場が混雑すると接種を終えるまで時間がかかることが想定されます。

現在ファイザー社・モデルナ社・アストラゼネカ社の3種類のワクチンが使用されていますが、どのワクチンも副反応として注射部分の痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛、寒気、下痢、発熱などがみられることがあります。こうした症状の大部分は、接種後数日以内に回復しますが、欠勤しなければいけないほど症状が強いという場合も多々あります。

ワクチン接種のための休暇の取り扱い

それでは、従業員から「ワクチンを接種するため休みたいんですが・・・」と申し出があったら、会社としてどう扱えばいいのでしょうか。
まず下記の選択肢が考えられます。
①欠勤扱いとする
②有給休暇を消化してもらう
③特別休暇を設ける
④業務時間内に接種して良いとする
ここでもし③や④を選択する場合は「有給」にするのか「無給」にするのかが大きなポイントになります。

|・ω・`)フムフム

有給・無給の選択肢

前項の③④を選んだ場合、どういった方法があるか見ていきましょう。

③-1.就業規則に規定し恒常化した休暇とする(有給)

就業規則に「ワクチン休暇」を明記する方法です。

たとえば「新型コロナウイルス予防のためのワクチンを接種する日については、特別休暇として有給とする。原則、接種日のみとするが副反応等で就業が難しい場合については、接種日翌日についても休暇とする」といった規定です。

但し、ワクチン休暇を特別休暇に加えるためには、就業規則の変更の届け出が必要です。就業規則の変更には労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は、社員の過半数を代表する者)の意見を聴く必要があり、各種手続きには時間がかかります。

また新型コロナウイルスが一般化した場合の対応やインフルエンザワクチンなどのほかのワクチンとの扱いの差が課題として残ります。
そしてアフターコロナの時代となり、不要となったワクチン休暇の制度を廃止しようとした時、就業規則を労働者の不利益な方に変更するには、原則として労働者の合意が必要な点も覚えておきましょう。

③-2.時限的なものとして就業規則に規定せず特別休暇として設定する(有給)

就業規則などで会社がやむ得ないと認めた場合は、特別休暇を与える等の規定があるのであれば、それを活用することが考えられます。
就業規則の変更が不要のため、素早く対応できるメリットがあります。ただし、本来的には労働基準法上で就業規則に休暇は必要記載事項なので課題は残ります。

③-3.無給休暇とする

無給休暇とする場合、当然ながらその日分の給与は控除されます。従業員からの反響があると思われますので、トラブルを防ぐためには別途手当を支給するなど、従業員が不利益をこうむらない方法を検討する必要があります。

特別な休暇を設けずに業務時間内での接種を認める方法です。こちらは次項目の②で引用した厚生労働省のQ&Aでも触れられています。

ナルホド_〆(・∀・*)

厚生労働省の見解

厚生労働省では特別なサイトを設けて、新型コロナウイルスに関する質問に回答しています。
それによると、職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいとされています。

休暇制度の新設・活用や中抜けについても言及しています。(わかりやすいように文章を①②に分けて引用しています)

『①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと

②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなど

は、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。
※常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。』


【引用】新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省

一般の方に向けてのワクチン接種はすでにスタートしていますが、多くの企業では就業規則の変更は間に合わなかったのではないでしょうか。そのため現実的には今ある休暇制度のどれかを、ワクチン休暇に充てたり、年次有給休暇を使用している方が多いのではと考えられます。

主に大企業ですが、すでにワクチン休暇の導入をしている企業も複数あります。
例:三菱電機、アフラック生命、SMBC日興証券、大日本印刷、DeNA等

政府はこれまで、コロナウイルスに関する様々な助成金を設けていますが、2021年9月1日時点でワクチン休暇に関する政府の助成金の発表はありません。

一方で山梨県は、ワクチン接種の副反応と思われる症状で休業を余儀なくされ、有給休暇が取得できないなど給与や事業収入が減る人に対して、独自の助成金制度を設けました。1回の接種で最大2日間が対象で、最大8,000円を支給されます。(1回目と2回目の接種両方で副反応と思われる症状が発生し休業した場合、 最大16,000円を支給)

山梨県ホームページ
【参照】山梨県/新型コロナウイルスワクチン副反応休業助成金の申請を受け付けています 

ォオ~!!(゚Д゚ノ)ノ

ありがたい制度ですね。

最後に

厚生労働省のサイトでは、いわゆる“ワクチンハラスメント”にも言及しています。


【参照】新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)1-問9|厚生労働省

ワクチンの接種は推奨はされていますが、強制できるものではありません。人それぞれ考え方や事情が違いますので“ワクチンハラスメント”が起こらないようにも気を付けたいですね。
同時に、ワクチンを接種した方も、接種したことによりウイルスに感染せず・他の人にもうつさないというのはまだ100%立証されていないようなので、引き続きマスクを着用する・手指消毒をする・ソーシャルディスタンスに気を付ける等、注意が必要です。

ワクチンを受ける方も受けない方もお互い思いやりを持って、気持ちよく働く事ができるようにしていきましょう。

┗(`・ω・´)┛ガンバリマス!

速報!!

厚生労働省は9月7日、コロナ禍による休校で仕事を休まざるを得なくなった家計を支援するため、「小学校休業等対応助成金・支援金制度」を再開するとともに、保護者個人でも申請できる助成金制度を整備する予定であるとの方針を示しました。
※個人での申請の場合でも、労働者を休業させたとする扱いへの事業主の同意は必要とされています。
個人で申請できる新制度は、「*¹新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の枠組みを活用する方向で、詳細はこれから詰めるとしています。

【参照】小学校休業等対応助成金・支援金を再開します(厚生労働省)
参照】新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金 (厚生労働省)

また詳細が出たらテーマに取り上げさせていただきます!

o(・ω・´o)!!

また次回お会いしましょう!

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