「永住権」外国人材の永住許可が厳格化へ|2026年・2027年の制度改正と取消事由

この記事で分かること

  • 外国人の永住許可は今後どう変わるのか
  • 2026年10月から何が変わるのか
  • 2027年4月から予定されている変更
  • 永住者の在留資格が取り消されるケース
  • 外国人材を雇用する企業が注意すべきポイント

日本で永住権を持つ外国人は、就労制限や在留期間の更新制限がなく、社会的信用も高いためローンが組みやすいなど、多くのメリットがあります。

日本に長期的な生活基盤を築きたい外国人材にとって非常に魅力的な資格です。

 

一方で、永住権取得後に次のような問題が生じるケースが近年課題視されています。

・税金や社会保険料を意図的に支払わない

・在留カードの更新怠慢・不携帯、他人名義の使用などの入管法違反

・刑法上の故意犯などの法令違反

2025年末時点で、日本に在留する外国人のうち「永住者」は約94万7,000人で、全体の約23%を占めておりその数は年々増加しています。

こうした違反・未納問題の増大を防ぐため、政府は国民の意見を反映させながら、段階的に制度の見直しや対策を進めています。

 

制度改正の背景と方向性

「日本のルールをしっかり守って適切に納税し、日本の制度や日本語の理解を深め、自力で安定した生活を継続できる方を永住者として迎え入れたい。」

国としては、このように方針を明確にし、実際の審査や運用に反映させていく考えです。

 

1.永住許可要件の厳格化(スケジュール案)

審査基準が大幅に見直され、より厳格化されます。

【2026年10月〜】収入基準の引き上げ、永住許可手数料の引き上げ

・世帯年収の基準上昇

申請者の世帯年収が、日本人世帯の年間平均所得(目安:約575万円以上※)を継続して上回ることが求められます(※世帯状況により変動)。

※厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」参照

2025(令和7)年 国民生活基礎調査

 

・永住許可手数料の引き上げ

2026年10月1日以降に受付された申請より、永住許可手数料が現在の10,000円から200,000円へと引き上げられます。

今回の改定は、審査に必要な人件費等のコスト増加、諸外国における同様の手数料水準、ならびに今後の物価上昇などを踏まえて決定されたものです。

なお、永住許可だけでなく、その他の各種在留手続きに関する手数料につきましても10月1日より改定されます。

詳細は出入国在留管理庁HPの「在留許可手数料の改定」をご覧ください。

出入国在留管理庁HP 在留許可手数料の改定

 

【2027年4月予定】永住許可の審査に年金・日本語能力・制度理解を考慮

年金の加入・受給要件

将来の年金受給見込額が、「上記収入基準で厚生年金に30年間加入した場合と同等の水準」に達しているかが求められます。

(不足する場合は、補填可能な金融資産も考慮されます。)

・日本語能力

CEFR※(日本語教育参照枠)の B1相当(自立した言語使用者レベル) の能力が求められます。

※語学能力を6段階(A1、A2、B1、B2、C1、C2)で評価する国際的な基準

・日本の制度理解

日本の社会制度やルールを正しく理解しているかどうかの確認が行われ、一定水準以上の理解があるかが審査に考慮されます。

 

2.永住許可の取消事由の追加【2027年4月1日〜施行】

2024年の入管法改正に基づき、以下の事由に該当する場合、取得済みの永住許可が取り消される可能性があります。

・税金や社会保険料の意図的な滞納

正当な理由がなく、税や社会保険料を未納・滞納し続けた場合。

・入管法上の義務違反

正当な理由がなく、在留カードの有効期間不更新、不携帯、提示拒否、偽変造、他人名義の使用などを行った場合。

・特定の刑罰法令違反

窃盗、詐欺、恐喝、危険運転致死傷罪などの罪で拘禁刑が科された場合(前科の状況等も考慮)。

 

永住権の取り消しは本人の人生プランに関わる重大な決定です。

本人に申し分がある場合、行政の決定に対して不服を訴えることはできるのでしょうか?

 

取り消し事由に該当しそうな場合は、対象となる外国人本人からの意見聴取を行い、事実関係を正確に把握した上で慎重に審査されます。

万が一、取り消し処分となった場合に不服があれば、取消訴訟などを提起することが可能です。

また、取り消しとなった場合でも、直ちに在留資格を失って強制帰国となるわけではありません。

個々の在留状況や活動内容に応じて、法務大臣の職権により「永住者以外の在留資格」への変更が許可されるケースもあります。

 

正当な処分で社会秩序を守ることも大切ですが、外国人本人が意見を伝える機会が確保されるなど、権利保護の視点も守られる必要がありますね。

 

おっしゃる通りです。現在、国は永住許可に関するガイドラインの改定に向けて広く意見公募(パブリックコメント等)を行っており、多角的な視点から秩序を守れる制度の運用を目指しています。

 

企業・外国人材の皆様へ

永住権を取り巻く制度は、申請要件の厳格化や許可後の取消規定の明確化など、大きな過渡期を迎えております。

情報理解や実務対応に誤りが生じないよう、出入国在留管理庁のホームページ等で適宜最新の情報をご確認ください。

外国人ご本人からの個人的なご相談につきましては、公的機関である「外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)」でも受け付けております。

外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)の問合せ先

※やさしい日本語のほか、英語、中国語、ベトナム語など多言語での対応が可能です。ぜひご活用・ご案内ください。