「育児時短就業給付金」4月から育児短時間勤務して給料の10%もらう方法

令和7年4月から「育児時短就業給付金」が創設されます。

 

出生後休業支援給付金とあわせて、育児法改正関連の目玉の一つです。
制度のポイントについてみていきましょう。

出生後休業支援給付金はこちら

育児時短就業給付金とは

要件

2歳未満の子を養育するために時短勤務をしていて、賃金が減額されていること

<時短勤務の例>
①1日の所定労働時間8時間を6時間勤務に変更した→OK!
②1日の所定労働時間8時間を4時間勤務に変更した→OK!
③1週間の所定労働日数を5日から4日に変更した→OK!
④1週間の所定労働日数を4日から2日に変更した→要注意!!
⑤子の養育のため転職してパートになった→要注意!!
⑥フレックス、変形労働時間制において、総労働時間を短縮した→OK!
⑦裁量労働制において、みなし労働時間を短縮した→OK!
シフト制において、実際の1週間の平均労働時間が短縮した→OK!

 

時短後の1週間当たりの所定労働時間に上限・下限はありません。育介法に基づく所定労働時間の短縮措置(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置)に限らず、所定労働時間を短縮した場合は対象となります。

④のケースのように短縮後の1週間当たりの所定労働時間が20時間を下回る場合は、子が小学校就学の始期に達するまでに1週間の所定労働時間が20時間以上となる労働条件に復帰することが前提であることが就業規則等の書面で確認できる場合であって、引き続き雇用保険の被保険者である場合は、育児時短就業として取扱います。

⑤のケースのように子の養育のため短時間正社員やパート労働者等に契約変更・転職をしたことに伴い、1週間当たりの所定労働時間が短縮されている場合も育児時短就業として取扱います。
※転職の場合、次のリーフレットをよく確認し申請モレのないようにしましょう。
転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点

 

上記のほか、育児休業から復帰後14日以内に時短勤務を開始していること、もしくは時短勤務を開始する前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12カ月以上あること、初日から末日まで雇用保険の被保険者であること等の要件もあります。

詳しくはこちらをご確認ください→育児時短就業給付の内容と支給申請手続き

 

支給額

支給額=時短勤務中の各月に支払われた賃金額×10%

※ただし、支払われた賃金額が時短前の賃金月額(=育児時短就業開始時賃金月額)の90%超~100%未満のときは、100%を超えないように支給率が調整されます。

また、100%以上の場合や支給限度額(459,000円)以上である場合、支給額が最低限度額(2,295円)以下である場合は支給されません。

 

支給額の試算

実際にどのくらいもらえるのか、試算してみましょう。

 

例)時短前:8時間労働、月額300,000円(=育児時短就業開始時賃金月額)
  ➡時短後:6時間労働、月額225,000円(300,000円÷8H×6H)

育児時短就業給付金=225,000円×10%22,500円

支給額=22,500円となります。

例)時短前:7.5時間労働、月額520,000円(=育児時短就業開始時賃金月額) 
  ➡時短後:6時間労働、月額420,000円 

育児時短就業給付金=420,000円×10%42,000円

ただし、時短後の賃金額と給付金の合計額が支給限度額を超えるため、
420,000+42,000円=462,000円>459,000円(支給限度額)
育児時短就業給付金=459,000円-420,000円=39,000円

支給額=39,000円となります。

 

申請手続き

原則として、被保険者を雇用している事業主が手続きを行います。

初回の申請後は、原則として2カ月ごとに申請を行っていきます。
詳細はこちら→育児時短就業給付の内容と支給申請手続き

 

確認ポイント

Q 過去に時短勤務を取得していましたが、現在は元の勤務時間に戻っています。この給付金があるなら、4月以降にまた時短勤務を取得することを検討したいです。この場合、育児時短就業給付金の対象になりますか。そもそも時短勤務は何回も取得できるものなのでしょうか。

はい、大丈夫です

育児・介護休業法に基づく育児時短制度(3歳未満)については回数制限はありませんし(会社は回数制限を設けることはできません)、育児時短就業給付金(2歳未満)も回数制限はありませんので、他の要件を満たしている場合、支給対象となります。

 

Q 2025年4月1日以前から時短勤務をしています。4月以降も引き続き時短勤務をする場合、4月から支給対象になるのでしょうか。

4月1日を時短勤務を開始した日とみなして、要件を満たす場合は支給対象となります。

ただし、育児時短就業開始時賃金月額についても、4月1日を時短勤務開始日とみなして算定するため、支給対象月と比べて低下していない場合は不支給となります。

例)昨年9月15日に育児休業から復帰し、月15万円で時短勤務中

直近6ケ月間の給与総額=15万円×6ケ月=90万
時短就業開始時賃金日額=90万÷180日=5,000円
育児時短就業開始時賃金月額=5,000円×30日=15万円
今年4月分の賃金額=15万
育児時短就業給付金=15万円-15万円=0円(不支給)

Q ちょうど4月に復帰を控え、復帰後すぐに時短勤務をする予定です。育児時短就業給付金の申請は、自分から会社にお願いすればいいのでしょうか。その他、用意するものなどあれば教えてください。

育児時短就業給付金は、原則として被保険者を雇用している事業主が申請を行う必要があります(一部、被保険者本人による申請も可)。よって、事業主から申請について何も連絡が無い場合は、申請を依頼する旨の連絡を念のためにしたほうがいいでしょう。

申請に必要な添付書類は、育児短時間勤務申出書母子手帳などがありますが会社に確認またはリーフレットなどでご確認ください。

なお、申請期日は支給対象月の初日から起算して4か月以内とありますが、時効支給単位期間の末日の翌日から起算して2年を経過する日となりますので、もし会社が申請を忘れていた、育児時短就業給付金自体の制度の存在を知らなかった等の場合でも2年以内であれば申請は可能です。

 

Q 男性です。昨年に出生時育児休業を取得し、現在は育児のためなるべく残業せず、早く帰るようにしています。残業をしなくなった分、実際の手取り給与額はかなり減ってしまいました。この場合、育児時短就業給付金の対象になりますか。

いいえ、残念ながら対象外です

育児時短就業給付金は「所定労働時間」を短縮して就業した場合に支給される給付金です。よって「所定労働時間」自体に変更がなく単に総労働時間が減っただけでは給付の対象とはなりません。

 

 

 

この制度が、従業員にとって早期の職場復帰を検討する良い材料となるといいですね。

 

リンクまとめ

育児時短就業給付の内容と支給申請手続き
「育児時短就業給付金」を創設します
転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点