国主導の外国人向け「日本語・生活学習プログラム」創設へ。企業への影響と活用できる助成金とは?
年々増加し続ける在留外国人。彼らが日本で暮らす際の日本語や社会ルールを学び、円滑に社会へ適応できるよう、政府主導で新たな「日本語・生活学習プログラム」の創設が進められています。2026年7月3日、出入国在留管理庁(入管庁)はこのプログラムの課題や方向性をまとめた報告書を公表しました。
今回は、この新プログラムの概要と、外国人材を雇用する企業が今から押さえておくべきポイント、そして現在活用できる助成金について解説します。
■なぜ今、政府主導の「学習プログラム」が必要なのか?

これまでも、国による情報提供や、各企業・支援団体による個別の日本語学習サポート等は行われてきていたように思われますが、なぜこれから更に国主導で動く必要があるのでしょう。

確かにこれまでも、受入れ企業、各支援団体、外国人本人など、それぞれが努力してきましたね。しかし、その中で以下のような課題が深刻化しています。
- 受入れ企業や支援団体の負担増(継続的な学習支援にかかるコストやリソースの限界)
- 地方公共団体等の窓口負担の増加(外国人からの問い合わせ対応の急増)
そこで、国が責任を持って体系的なプログラムを用意・実施することで、「企業等の負担軽減」と「支援内容の充実」を同時に実現し、外国人が責任ある社会の一員として定着することを目指しています。

日本で生活する外国人のどこまでが対象になるのでしょう?

「中長期の在留者」を幅広く対象とする予定です。これまで企業のサポートが行き届きにくかった、「家族滞在」の在留者や、受入れ機関のない個人事業主等への学習支援も充実させる方針が打ち出されています。
※中長期の在留者:日本に3ヶ月を超えて合法的に在留する外国人のうち、「短期滞在」「外交」「公用」や特別永住者などを除いた方。
■現時点で公表されている「具体的な内容」と3つの特徴
- 「初期学習」の重視とAIの活用
入国前、および入国後すぐの早期学習を重視。AIを活用した双方向型(インタラクティブ)の学習や理解度チェックを導入し、ライフスタイルに合わせてICT(オンライン)と対面講習を選択できるようにします。
- 受講状況を「在留審査(永住許可など)」の要件に
永住許可申請や一定の長期滞在の在留申請を行う際、このプログラムの受講を許可要件とすることが検討されています。これにより、外国人本人の学習モチベーションや意識を高める狙いがあります。また、受講状況を一元管理するシステムも構築されます。
- 地方公共団体や民間団体との連携
地域のルールや方言、文化に馴染めるよう、地方公共団体が実施する対面講習をプログラムに組み込むほか、民間団体への委託開催も想定されています。

国主導の体系的なプログラムは企業や外国人本人にとって心強い味方となりますが、地域特性への配慮や持続的な見直しなど、運用面での課題をどうクリアしていくかが今後の焦点となります。

確かに。まあ、今回国主導で動くという趣旨は大事なことなので、まずやってみて修正を根気よく続けることですね。
■外国人労働者の「職場定着」へ向けた企業の取り組みと活用できる助成金

国が新たな仕組みを整える一方で、すでに多くの企業や支援団体が、独自に外国人労働者のサポートを行い、成果を上げています。
入管庁のホームページで公開されている「各分野における特定技能外国人等の受入れ事例集」では、母国語でのマニュアル作成や相談窓口の設置などによって外国人労働者の不安を解消し、長期的な「人的投資」として定着率を向上させている好事例が紹介されています。
各分野における特定技能外国人等の受入れ事例集(出入国在留管理庁)
こうした外国人労働者の職場定着に向けた環境整備を行う企業に対して、現在、厚生労働省から以下の助成金が支給される制度があります。
人材確保等支援助成金〈外国人労働者就労環境整備助成コース〉(厚生労働省)
雇用保険被保険者となる外国人労働者(特別永住者及び在留資格 「外交」・「公用」を除く)を1人でも雇用していれば申請できる可能性があります。
外国人労働者のために、就労環境整備措置を実施すると1つの措置につき20万円の助成金が支給されます。必須の措置で40万円、任意の措置を実施すると最大40万円で、合計最大80万円の助成金を受給可能です。
〈活用時の主な注意点〉
- 就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月間の外国人労働者離職率が15%以下であることが必要になります。在籍外国人労働者が少人数の場合は、離職者数をより少なく抑えないとならないことがあります。ただ、厚生労働省が民間業者に委託して実施している外国人労働者雇用労務責任者講習(無料・オンライン)を受講すると、就労環境整備措置を全て実施し、外国人労働者を解雇しなければ、離職率に関係なく本助成金を申請できます。この場合、離職率算定期間(6か月)を待たずに就労環境整備措置の実施日翌日から申請可能です。
- 就労環境整備計画を提出するのですが、提出後、計画期間の開始前に外部委託費用等を支払完了させた場合、支給対象とはなりません。支払いは計画期間内に行いましょう。
- 特定技能外国人を雇用する企業の場合、就労環境整備措置の選択メニューのうち、相談体制の整備を選択しても、特定技能では相談体制の整備が法令上の義務となっているため、本助成金の支給対象とはなりません。「一時帰国のための休暇制度の整備」もしくは「社内マニュアル・標識類等の多言語化」のメニューを選択する必要があります。技能実習の監理団体の場合も同様です。
- 就業規則等の翻訳をする際は、必ずしも業者に依頼して翻訳費用を支払わないといけないわけではなく、自社職員が行った場合も助成金の申請は可能です。
「受入れ後の支援体制や、助成金の活用方法について詳しく知りたい」「外国人労働者を採用したいけれど、在留資格の手続きが複雑で分からない」 といったご不安やご質問がございましたら、どうぞお気軽に弊社までお問い合わせください!