分かりやすく!改正育介法〈令和7年4月施行〉
令和6年5月の改正に伴い、令和7年4月、10月から施行される改正育介法について厚生労働省から規定例とQ&Aが公開されました。
→育児・介護休業等に関する規則の規定例
→令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)
そうでした…!改正からもう半年なんですね。
そろそろ規定関係の見直しなど確認しなければと思っていました。
残業免除の対象拡大やテレワークの努力義務化など、仕事との両立支援を目的とした制度がいよいよ始まりますね。
令和7年施行の改正のポイント
前回(令和4年の4月・10月、令和5年の4月)の改正のテーマは、以下のとおりでした。
「育児休業を取得しやすくすること」 ・育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(令和4年4月~) ・有期契約労働者の取得要件の緩和(令和4年4月~) ・個別の周知、意向の確認(令和4年4月~) ・出生時育児休業の創設(令和4年10月~) ・育児休業の2回までの分割取得(令和4年10月~) |
今回(令和7年4月・10月)の改正の主な目的は次のとおりです。
「育児や介護をしながらでも働き続けられる体制づくり」 ・テレワーク勤務を子が3歳まで出来るよう努力義務化(令和7年4月~) ・残業免除を子が小学校就学前までできるよう拡大(令和7年4月~) ・子の行事参加も看護休暇の一つとして対象を拡大(令和7年4月~) ・仕事との両立について意向聴取、配慮の義務化(令和7年10月~) ・柔軟な働き方の措置を義務化(令和7年10月~) |
改正の概要については以下の記事もご覧ください。
→これだけは知っておきたい!改正育介法<令和7年施行前の全体像>
→これだけは知っておきたい!改正育介法<令和7年施行の改正点>
令和7年の改正法施行に向けての具体的実務
改正法への対応は規定の見直しや届出、運用についての検討、社内研修、社内様式の準備、相談窓口の設置など多岐にわたるため、まずは全体像の把握をしたうえで、全体のスケジュールを計画的に進めていくことが必要です。従業員の声にもしっかりと耳を傾けて、会社としてできることを検討していくことも大事なポイントです。
なお、令和7年4月と10月の改正は、4月までに規定関係をまとめて改定することも可能ですが、一つずつじっくりと対応していくことをお勧めします。
令和7年4月1日までに対応すべき事項
①3歳未満の子を持つ労働者を対象にテレワークを導入するか検討
3歳未満の子をもつ労働者に対しては、既に短時間勤務制度(労働者からの申出により1日の所定労働時間を短縮する制度)はありますが、これに働き方の選択肢の1つとして「テレワーク」を追加する(=労働者側が「短時間勤務制度」か「テレワーク」かを選択できるようにする)かどうか検討します。
<メリット> 労働者側:通勤時間の短縮、フル勤務が可能になることで給与ダウンの回避 企業側 :人手不足の解消、子育て期にある社員の離職防止、人材の確保 |
このように双方にメリットのあるテレワークですが、職種や業種、管理コストなども懸念材料となるため努力義務とされています。
令和6年度から両立支援等助成金の1つとして「柔軟な働き方選択制度等支援コース」も新設されています。
また、3歳に満たない子を養育する労働者に関し、短時間勤務制度を講ずることが困難な場合(例えば国際線の客室乗務員、労働者が少ない事業所の労働者等)として、あらかじめ労使協定でその業務に従事する労働者を短時間勤務制度利用の対象外としている場合は、その短時間勤務制度の代替措置を定める必要がありますが、その代替措置の1つとして「テレワーク」が追加されます。
事業主は代替措置のうち、いずれかの措置を講じなければならないため、引き続きテレワーク以外の措置とするか、テレワークの措置とするか検討が必要です。
②要介護の家族を介護する労働者にテレワークを導入するか検討
要介護状態の対象家族を介護する労働者に対しても、同じように既に短時間勤務制度その他の措置を講じることが定められていますが、介護を容易にするための措置として、働き方の選択肢に「テレワーク」を追加することが努力義務とされました。
③就業規則等の変更
上記①②を導入する場合および子の看護休暇、所定外労働の制限による改正事項について、文言等の変更や追記を行います。※下記、赤枠の赤字について文言の変更や追記
令和7年3月末までに規定の改定・届出を完了できるようにしましょう。
あわせて社内周知も必要ですね。
④労使協定の再締結
子の看護休暇、介護休暇について勤続6ケ月未満の労働者を適用除外としている場合は、撤廃し再締結が必要です。※下記、赤枠の赤字について文言の撤廃
届出は不要です。
⑤介護に関する個別周知・意向確認等のため書面等の準備
介護離職防止のため、次の措置が事業主に義務付けられます。記載例(P30~)を元に社内様式を整備し、雇用環境の整備(社内研修、相談窓口の設置等)を進めましょう。
対象者 | 対応 |
介護に直面したことを申し出た従業員 | 個別周知・意向確認 |
40歳等、介護に直面する前の早い段階 | 情報提供 |
全社員 | 雇用環境の整備 |
介護は子育てと違い、いつまで続くか分からなくて不安ですよね。介護について会社に相談しやすい職場風土をつくることから始めていきましょう。
仕事と介護の両立支援について、社内の研修用動画も公開されていますので、ぜひ活用してみてください。(厚労省/両立に向けての具体的ツール)
⑥育児休業の取得状況の公表準備
男性労働者の育児休業取得率等の公表が、従業員300人超1,000人以下の企業に義務化されます。対象となる会社では新たな事業年度の開始以降、速やかに対応が出来るよう公表時期、公表内容、公表方法について確認しておきましょう。厚労省のリーフレットは(こちら)をご確認ください。
⑦新たな給付金についての情報収集
令和7年4月から新たに2つの給付金が創設されます。今のうちに支給要件、申請書類などの情報収集をしておくと良いでしょう。
出生後休業支援給付金 (夫婦ともに育児休業をしたときにもらえる給付金) 育児時短就業給付金
(2歳未満の子を養育し、育児短時間勤務をしているときにもらえる給付金) |
次回は、令和7年10月1日までに対応すべき事項や新しい給付金についてもご紹介したいと思います。
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→【特設ページ】令和6年度改正育児・介護休業法
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→育児・介護休業法改正ポイントのご案内