令和4年10月~新法!労働者協同組合法が施行!

2020年(令和2年)12月に成立した、労働者協同組合法(以下、労協法)。今年10月から施行されます!

この施行により、どういった働き方をするか考える際に、パート・アルバイト/社員( 契約・派遣含む)/事業主のいずれかとして働くという選択の他「協同組合員として働く」という選択肢が増えることになります。

【出典】労働者協同組合 |厚生労働省

オオォォォ(゚ロ゚*)(゚ロ゚*)

※上記の厚生労働省のサイトに「施行に向けて必要な情報等について、今後本ページにてお知らせいたします。」と記載のあるように、今後細かな規定等の更新が見込まれます。当サイトでも随時更新していこうと思いますので、こまめにチェックしてみてくださいね!

【2022年6月20日更新】

労協についての情報提供のため、特設サイト「知りたい!労働者協同組合法」が開設されました。
設立の流れや好事例等が分かりやすく掲載されていますので、労協の設立に興味のある方は一度覗いてみるのがおすすめです。

【出典】知りたい!労働者協同組合法 | (mhlw.go.jp)

労協法の目的とは

労協法の第1条では、次のように法律の制定目的が示されています。

【出典】労働者協同組合法|e-Gov法令検索

つまり「労働協同組合で働く」という働き方の選択肢を増やすことで、新たな雇用環境(会社)の設立を促進し、その地域に必要とされる事業を生み出すことを後押ししてくれる法律ということです。

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、廃業や雇い止め等が増えてしまいましたが、労協によって「その地域に必要な良い仕事」が生み出され、その内容に共感して生き生きと働く人が増えることが期待されます。

労働者協同組合(以下、労協)とは

労協とは、労協法に基づいて設立された法人です。

株式会社等と違い、労協は組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業を運営することを基本原理としています。

事業主⇔労働者の関係ではなく、組合員全員が「出資者」「経営者」「働き手」の役割を担っているのが特徴で、共通の目的を持った人々が自発的に集まり設立できるのです。

こちらも株式会社等と違う部分ですが、労協の設立目的は「持続可能で活力ある地域社会の実現に資すること」とし、事業は「非営利目的」で行わなければなりません。

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混同しやすいもの

□労働組合

名称が似かよっているのですが、目的が全く違います。

労働組合は「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を目的として組織する団体」のこと。
すなわち、労働者が団結し、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るために設立されます。

□企業組合

企業組合は組合員自らが出資と運営を行うという点では、労協と同じです。
大きな違いは、企業組合は株式会社と同様に営利を追求できるという点です。つまり労協とは違い、利益を出して出資者である組合員に分配できるのです。

なお、労協では利益を目的として活動することは禁止されていますが、余剰金の配布は認められています。

□NPO法人

労協は非営利目的という点ではNPO法人と共通しています。
NPO法人との大きな違いは、組合員が法人に対してする出資の可否と、活動内容です。

NPO法人は労協と違い、組合員が出資をすることができません。

また、NPO法人の活動内容には「特定非営利活動促進法」に基づいた一定の制限があります。
※保健、医療又は福祉の増進を図る活動・学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動・人権の擁護又は平和の推進を図る活動・職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動・国際協力の活動などで、この他およそ20分野に制限されています。

対して、労協は労働者派遣事業以外であれば、設立が可能です。

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労協法設立の背景

日本における労働者協同組合のほとんどは、現在(労働者協同組合法施行前)は企業組合やNPO法人などの形態をとっています。
これらの形態は設立手続きが煩雑であったり、先述したように事業の内容が制限されていました。

現在、企業組合の設立には所轄庁となる行政機関の認可・NPO法人の設立には所轄庁となる行政機関の認証が必要です。(その後に登記を行います)
対して労協は、必要書類をそろえて登記さえ行えば法人格を取得できます。
法人設立までの大幅な時間短縮につながります。

※なおこの法律の施行の際、現に存する企業組合又はNPO法人は、施行後3年以内に総会の議決によりその組織を変更し、労協になることができます。

また、重大な問題点として、既存の労協に関して労働基準法が適用される「労働者」には該当しないと判断された裁判例*¹があり、働く人たちが法律に完璧に保護されていないというところがありました。
(*¹ワーカーズ・コレクティブ轍・東村山事件(東京高裁2019年6月4日判決))

この問題を解消すべく、労働者協同組合法では、働く人たちが組合と労働契約を結ぶことを義務化することで「労働者」として明確に位置づけられていることが大きな特徴とされています。
役員以外の組合員は労働契約を結ぶことが義務化されているので、労働基準法や最低賃金法などの労働法規が完全適用となることが決まっています。

そして、労働者協同組合法/第二章/第一節/通則(人格及び住所)第二条に「労働者協同組合(以下「組合」という。)は、法人とする」という記載があります。
「法人とする」いうことはつまり、社会保険(健康保険・厚生年金)も強制適用となります。
株式会社等で働くのと同じように労働法や社会保険法の保護が受けられるのです。
※ただし、全員が平等なはずの労協で、役員は労働契約を結ばなくても良いことになっています。役員に対する法的な保護が課題として残されています。
(=m=;)ウーン…

労協法のポイント

設立・運営に関連する、条文のポイントを抜粋しました。

【設立時】

□持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とするものであること
□組合員が出資すること
□組合員は、出資一口以上を有し、出資一口の金額は均一でなければならないこと
□組合の設立については、準則主義によるものとし、3人以上の発起人を要すること
□定款及び規約に関する所要の規定を整備すること
□組合に、役員として理事(3人以上)及び監事(1人以上)を置くこと
※理事は、組合員でなければならない
□組合は、営利を目的としてその事業を行ってはならないこと
□組合は、特定の政党のために利用してはならないこと
□組合は、労働者派遣事業その他の組合がその目的に照らして行うことが適当でないものとして政令で定める事業を行うことができないこと
□行政庁(個別の組合:都道府県知事、連合会:厚生労働大臣)による報告の徴取その他の監督に関する所要の規定を整備すること
【運営中】
□その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること
□組合員が組合の行う事業に従事すること
□組合員が任意に加入し、又は脱退(90日前において予告(定款で1年以内であれば変更可能)し、事業年度末に脱退)することができること
□組合員との間で労働契約を締結すること
□組合は、組合員(組合員であった者を含む)であって組合との間で労働契約を締結してその事業に従事するものが、議決権又は選挙権の行使、脱退その他の組合員の資格に基づく行為をしたことを理由として、解雇その他の労働関係上の不利益な取扱いをしてはならないこと
□組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること
□剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うこと
□理事は、各事業年度に係る組合員の意見を反映させる方策の実施の状況及びその結果並びに就業規則の作成又は労使協定の締結等の内容を総会に報告しなければならないこと。

【出典】労働者協同組合法 概要(厚生労働省)

労協設立にあたり「労働諸法令や社会保険の相談をしたい」という場合もお気兼ねなくご相談ください。

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