退職金制度のメリット・デメリット・積み立て方いろいろ[Part3]

最終回、連載のPart3です!

退職金の積み立て方法4種のうち、確定給付企業年金と確定拠出企業年金の2つを解説します!

オー!!(*・∀・)ノシ

3⃣【確定給付企業年金(DB)】

DBは、厚生年金適用事業の事業主が実施することができます。

各企業で作成した規約をもとに運用する「規約型」と、企業年金基金を設立して運営する「基金型」があります。
掛金は年一回以上、事業主が拠出します。(規約により1/2を超えない範囲の額であれば加入者も拠出することが可能です)

メリット

掛金が損金として計上できます。

デメリット

□給付(将来従業員に支払うべき額)を確定させておかなければいけないという点が企業にとってデメリットとしてとらえられてしまうことが多いです。

後述する確定拠出年金と比較されることが多いのですが、新規加入については確定拠出年金の方が多くなっています。DB加入者の大半は、廃止された適格退職年金制度や厚生年金基金からの移行者です。

【出典】確定給付企業年金制度|厚生労働省

4⃣【確定拠出年金3種】

もともと個人型(=iDeCo)企業型の2種類でしたが、平成30年5月からは個人でiDeCoに拠出しているものにプラスして事業主が拠出できる、iDeCo+が加わっています。
それぞれ加入対象者や掛金納付者・運用責任者などに違いがあります。
この中でiDeCo+と企業型DCについては、退職金制度として活用することができます。

①iDeCo(個人型) ※参考※退職金制度としての活用はできません

加入対象者
□国民年金の第一号被保険者(=自営業、個人事業主の方)
※農業者年金の被保険者・国民年金の保険料の免除を受けている方は除きます
□国民年金の第二号被保険者(=厚生年金の被保険者)
※勤め先で企業型確定拠出年金に加入しており、個人型同時加入が認められていない場合は除きます
□国民年金の第三号被保険者(=第二号被保険者に扶養されている(年収が130万円未満)20歳以上60歳未満の配偶者)

掛金納付者
拠出も納付も本人が行う

手数料負担・運用責任
本人

②iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)

加入対象者
従業員300名以下の企業に勤める厚生年金被保険者で、iDeCoに加入している方

掛金納付者
本人のiDeCoにプラスする形で事業主も拠出。本人分は給与天引きをして、事業主が納付を行う

手数料負担・運用責任
本人

③企業型DC(企業型)

加入対象者
企業型DCを実施している事業所に雇用されている厚生年金被保険者
※原則全員加入

掛金納付者
メインは事業主。加えて本人が拠出する、マッチング拠出も可能

手数料負担
事業主

運用責任
本人

★★★企業型DCはさらに2つに分類することができます!!
会社が今までに支払っている給料とは別に、上乗せで掛金を拠出する企業型
これに対して、給料の一部を労働者の判断で掛金として拠出する、選択制確定拠出年金があります
方法としてはまず、労使で話し合って給与体系を再構築し、給料の一部を「ライフプラン手当」や「資産形成手当」等と名称をつけ、基本給とは別にします。(ここでは仮に「資産形成手当」とします)金額の上限は、自社で他に企業年金を運用していない場合は55,000円。他に企業年金を運用している場合は27,500円となります。
この範囲内で、さらに企業が上限額を決めます。
そして従業員が「資産形成手当から拠出金を出したい」という場合は、給与の一部から掛金額が天引きされ、拠出金に回されます。
従業員が「拠出はしない」という場合は、給与と併せて全額受け取ることができます。
簡単に言うと、選択制確定拠出年金を利用すると、天引きでお金を貯めるか、一旦もらった給与から自分で貯めるか(またはそのまま使ってしまうのか)を従業員が選択し、自分自身で退職金の代わりになるものを作っていくことができるということです。

なお選択制確定拠出年金では、拠出する額は労働保険・社会保険上、給与扱いにはならないため、毎月の保険料が安くなるというメリットがあります。
(企業側にはメリットのみですが、労働者としてはいざ保険を使うとき(失業手当・傷病手当金や出産手当金、公的年金等を受け取る際)に貰える額も減るため、拠出額には注意が必要です)

メリット

1⃣節税
上記三つは全て、本人の拠出金については所得控除が受けられます。また運用して得られた利益についても非課税です。
iDeCo+や企業型DCに関しては事業主が拠出した掛金は、全額が損金に算入されます。
口座開設時・運用中に多少の手数料はかかりますが、企業にも個人にも税制面で嬉しい制度です。

2⃣公的年金より早く受取を開始できる
公的年金(国民年金・厚生年金)の受給開始年齢は、特別支給の老齢厚生年金または減額覚悟で繰り上げ支給を受ける場合を除き、原則65歳からです。
確定拠出年金は、加入者期間が10年以上であれば、60歳から給付を受け取ることが可能です。

デメリット

1⃣基本的に60歳までは給付を受け取ることができない

2⃣元本割れのリスク
元本が保証されていない商品を選択した場合、運用リスク(元本割れのリスク)がある

【出典】確定拠出年金制度|厚生労働省

「退職金制度」というと導入にかなりの労力がかかったり、どういった運用をしていけばよいかなど、負担が大きく感じられるかもしれません。

しかし中退共やiDeCo+など、すでに運用されているものを活用する方法であれば取り入れやすいかと思われます。
今いる従業員の離職防止や採用をスムーズにするために一役買ってくれる制度なので、導入がまだの企業は一度検討してみてはいかがでしょうか。

(〇`・Д・ ウンウン

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