退職金制度のメリット・デメリット・積み立て方いろいろ[Part2]

前回始まりました、連載のPart2です!

今回は退職金の積み立て方法4種のうち、比較的わかりやすい自社内積み立てと中退共の2つを解説します!

オー!!(*・∀・)ノシ

1⃣【自社内積み立て】

掲題のとおり、自社内で退職金分の貯蓄をしていく方法です。

メリット

退職者に支給する金額を企業で独自に決められます。自由度の高い退職金制度を導入したい企業に適した制度です。

デメリット

支給する退職金を企業が内部留保で貯めていかなければならず、現金で積み立てを行うと、積立金に対して課税されてしまうというところです。

対策としては、1/2や2/3など、積立金の一部を損金扱いにできる、保険商品の運用が挙げられます。
養老保険や経営者保険(長期平準定期保険や逓増定期保険等)を退職金の積み立てに利用していることが多いです。

(*’ω’)ナルホド

2⃣【中小企業退職金共済制度(中退共)】

中退共は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。

掛金は全額事業主負担で、事業主が中退共と退職金共済契約を結びます。
口座振替等で、毎月の掛金は金融機関に納付します。
掛金の額は5,000円~30,000円の16種類(短時間労働者は2,000、3,000円、4,000円のうちからの選択も可能)の中から、従業員ごとに設定ができます。

メリット

1⃣管理が楽
加入後は手続きや事務処理を中退共が行ってくれ、従業員ごとの納付状況や退職金額等は、中退共がきちんと事業主に報告をしてくれます。

従業員の退職が発生した際は、その従業員に中退共から直接退職金が直接支払われます。
※中退共に加入している企業を退職した際、退職後3年以内に退職金を請求しないで、新しい企業で被共済者となり通算の申し出を行えば、前企業での掛金納付月数を引き継ぐこともできます。

2⃣国からの補助金あり
<新規加入助成>
新しく中退共制度に加入する事業主に対して、国が助成をしてくれます。

(1)掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円) ⇒加入後4か月目~1年間

(2)パートタイマー等短時間労働者の特例掛金月額(掛金月額4,000円以下)加入者については、(1)に次の額を上乗せして助成
掛金月額2,000円の場合は300円、3,000円の場合は400円、4,000円の場合は500

※同居の親族のみを雇用する事業主等、対象外もありますのでご注意ください。

<月額変更助成>
掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額変更する事業主に対しても、国が助成をしてくれます。

  増額分(増額前※1と増額後の掛金月額の差額)の3分の1 ⇒1年間

※掛金月額の増額による助成期間(1年)内に掛金月額を減額した場合、「月額変更助成」は打ち切りとなります。
※掛金月額の減額は次のいずれかの場合にしか行うことができないので、注意が必要です。
・掛金月額の減額をその従業員が同意した場合
・現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めた場合

3⃣税金対策
中退共制度の掛金は、全額損金(個人事業主の場合は必要経費)に算入できます
※ただし、資本金または出資金が1億円を超える法人の法人事業税については、*¹外形標準課税が適用
*¹外形標準課税・・・事業所の床面積や従業員数、資本金や付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式のこと

(((o(*゚▽゚*)o)))スゴイ

デメリット

1⃣元本割れ、掛け捨てのリスク
短期退職者に対しては*²元本割れになってしまったり、結果的に掛け捨て(中退共に加入した従業員がその後1年未満で退職した場合)になってしまうことが起こり得るということがあげられます。
*²1年以上2年未満の場合は掛金納付総額を下回る額になります。2年以上3年6ヵ月では掛金相当額となり、3年7ヵ月以上からは運用利息と付加退職金が加算され、掛金納付額を上回ります。

2⃣自社内積み立てと違い、原則、金額調整ができない
従業員に直接支払われる制度ですので、退職理由(自己都合、会社都合)での金額調整はできません。
※懲戒解雇したような場合は、厚生労働大臣(船員法の適用を受ける船員の場合は地方運輸局長)の認定を受けたうえで、退職金を減額することができます。
しかし、退職金が減額された場合でも、その減額分は長期加入者の退職金支払財源にあてられるため、事業主に返金されることはありません。

【出典】中小企業退職金共済事業本部 トップページ 

中退共に近いもので、商工会議所・商工会等の運営団体に加入する企業または個人事業主が加入できる“特定退職金共済団体(特退共)”もあります。
こちらは、中小企業に加入が限定されていませんが地域要件があります。また、各団体が業務委託をしている生命保険会社が運用を行います。

(。・ω・。)ヘェ~

次回、Part3では確定給付・確定拠出年金について解説していきます!

*·‥… ━━━ *·‥…━━━*‥…━━━ *‥…━━━ *‥…━━━ *‥…━━━ *
この内容は公開日時点のものです。
当ホームページに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、情報のご利用は利用者の責任の範囲とさせていただきます。
*·‥… ━━━ *·‥…━━━*‥…━━━ *‥…━━━ *‥…━━━ *‥…━━━ *