外国人在留管理制度とは?外国人雇用で必要な入国前後の手続きと注意点

外国人在留管理制度とは?

外国人材を雇用・受入れる際、企業担当者にとって避けて通れないのが「在留管理制度」への対応です。外国人雇用では、在留資格や在留カードの確認だけでなく、入国前後の各種手続きや在留期間の管理など、企業側でも確認しておくべき事項があります。

外国人が日本に入国・在留して活動するためには、原則として、その活動に応じた「在留資格」が必要となります。在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したもので、出入国在留管理庁が上陸審査・許可等の際に付与する資格です。

この在留資格や住居地等について必要な届出を行い、外国人の適正な在留を確保するための仕組みが「在留管理制度」です。

本記事では、企業担当者と外国人本人が押さえるべき入国前後の必要手続きと、実務で起こり得る手続きミス・その予防策について解説します。

■中長期在留者の入国前後の必要手続き

入国前後の主な手続きについて、タイミングと対応者を整理してみます。

タイミング 手続場所 対応者 主な手続き
入国前 地方出入国在留管理局 本人または受入れ機関等 在留資格認定証明書(COE)交付申請・受領 ※1
入国前 現地日本国大使館・総領事館 本人 査証(VISA)発給申請・取得(査証免除措置による入国を除く)
入国前 オンライン 本人 Visit Japan Webの登録(入国手続きの事前登録)
入国後 到着空港 本人 入国審査、「在留カード」の交付 ※2
入国後 市区町村窓口 本人 住居地の届出(住居地を定めた日から14日以内)
入国後 地方出入国在留管理官署等 本人 住居地以外の変更届出(氏名・生年月日・性別・国籍・地域等の変更から14日以内)
入国後 地方出入国在留管理官署等 本人 在留期間更新申請等(在留期間の満了前に申請)
入国後 地方出入国在留管理官署等 本人 所属機関に関する届出(該当する場合は14日以内)※3
入国後 地方出入国在留管理官署等 所属機関 中長期在留者の受入れに関する届出(対象となる機関のみ)※4

※1 オンライン申請および電子メールによる受領も可能です。
※2 在留カードは、入国時に空港等で交付される場合と、後日、住居地へ郵送される場合があります。
※3 「技術・人文知識・国際業務」「介護」等の在留資格を有する中長期在留者について、契約機関の名称・所在地変更、新たな契約の締結、契約の終了など、一定の事由が生じた場合に本人による届出が必要となります。届出は原則として事由が生じた日から14日以内です。
※4 「中長期在留者の受入れに関する届出」は、対象となる所属機関が受入れを開始・終了した場合などに行うものです。ただし、外国人雇用状況の届出が義務付けられている事業主は、この届出の対象から除外されています。また、この届出は努力義務であり、届出を行わなかったこと自体に刑罰はありません。

なお、Visit Japan Webは入国手続きをスムーズにするための事前登録であり、在留管理制度上の届出とは性質が異なります。

外国人雇用で企業・本人が陥りがちな手続きミス

ちょっとした認識不足や勘違い等により手続きが漏れると、法律上の義務違反となり、罰則や在留期間更新等の審査に影響する可能性があります。あり得る事例をいくつか挙げてみます。

住居地の届出忘れ(仮住まい・ホテル滞在の落とし穴)

<事例>

入国直後に賃貸契約が整わず、マンスリーホテル等で一時的に滞在した結果、「本住居が決まってから届出をすればいい」と誤認し、住居地の届出を長期間放置してしまった。

<潜むリスク>

日本に入国して新たに中長期在留者となった方は、住居地を定めた日から14日以内に住居地の届出を行う必要があります。

また、上陸の許可や在留資格の変更許可等により新たに中長期在留者となった方が、正当な理由なく、許可を受けてから90日以内に住居地の届出を行わない場合は、在留資格の取消対象となることがあります。

一時的な宿泊先と実際の住居地との区別がつかないまま届出を先送りすることのないよう、入国前から住居確保の予定を立て、必要に応じて市区町村等へ確認しておくことが重要です。

「ハローワークへ届出済みだから安心」という勘違い

<事例>

「技術・人文知識・国際業務」「介護」等の在留資格を有する中長期在留者が転職してきた場合、企業の採用担当者がハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行ったため手続きは完了したと思い込み、外国人本人が入管庁へ提出すべき「所属機関に関する届出」の案内を行っていなかった。

<潜むリスク>

一定の在留資格を有する中長期在留者については、所属機関との契約の終了や新たな契約の締結などがあった場合、本人による「所属機関に関する届出」が必要となることがあります。

この届出は、原則として事由が生じた日から14日以内に行う必要があります。届出を行わなかった場合には、20万円以下の罰金に処せられることがあります。

また、届出を怠った事実が、将来の在留期間更新や永住許可等の審査において確認される可能性もあります。

ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」と、本人が行う「所属機関に関する届出」は別の制度です。企業側は、ハローワークへの届出を行っただけで本人側の手続きまで完了したと考えないよう注意が必要です。

「雇用契約期間」と「在留期間」のずれによるオーバーステイ

<事例>

雇用契約書の「契約期間が2年」である一方、在留カードの「在留期間は1年」となっていた。企業側が在留期間の満了日を把握しておらず、本人も「雇用契約期間=在留期間」と誤解していた。

その後、在留期間の満了日が近づいていることに気付き、在留期間更新申請の準備を始めたものの、申請が間に合わないまま在留期間の満了日を迎えてしまった。

<潜むリスク>

雇用契約の期間と在留期間は別のものです。雇用契約が2年間であっても、在留期間が1年間であれば、原則として在留期間の満了までに更新等の手続きを行う必要があります。

在留期間の満了日までに更新申請等を行わず、在留期間満了後も適法な在留資格がない状態で日本に滞在すると、不法残留(オーバーステイ)となる可能性があります。

一方、在留期間満了前に在留期間更新許可申請等を適法に行った場合には、一定の要件のもとで「特例期間」が認められます。具体的には、申請に対する処分が在留期間満了日までに行われない場合、処分がされる時または在留期間満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留することができます。

企業側も在留カードの在留期間を定期的に確認し、更新手続きの準備期間を確保することが重要です。

<関連ページ>

外国人雇用の在留カードが新様式に|特定在留カードの変更点と実務上の注意点 – 松島社会保険労務士法人

なお、在留期間の満了日が過ぎている、または更新申請等を行っていないことに気付いた場合は、放置せず、速やかに管轄の地方出入国在留管理官署へ相談してください。

また、外国人を不法就労させたり、不法就労をあっせんしたりした場合、事業主も不法就労助長罪の対象となる可能性があります。現在の罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金であり、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられる予定です。

外国人雇用の手続きミスを防ぐ企業側の管理体制

このようなリスクを回避し、コンプライアンスを遵守するためには、外国人本人任せにせず、企業側も確認・フォローできる管理体制を整えることが重要です。具体的には以下の3つの対策を推奨します。

在留資格・在留期限を一元管理する

在留カードの原本確認を徹底し、「在留資格」「就労制限の有無」「在留期間の満了日」などを確認したうえで、必要な情報を適切に管理します。

在留期間の満了日の3か月~2か月前を目安に自動アラートが作動する仕組みを作り、更新申請の準備期間を十分に確保しましょう。

入社・退社時のチェックリストを活用する

入社時に企業側の「外国人雇用状況の届出」だけでなく、外国人本人による「所属機関に関する届出(転職等の場合)」や「住居地の届出」が必要かどうかを確認し、チェックリストで管理します。

※どのような場合に所属機関に関する届出が必要かについては、以下の出入国在留管理庁のホームページをご確認ください。

出入国在留管理庁 所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A

外国人社員向けガイダンスを実施する

入社時のオリエンテーションで、日本の在留管理ルールの重要性を母国語またはやさしい日本語で説明し、手続きに関するトラブルが発生した場合の相談窓口を明確にしておきましょう。

特に、在留期間の満了日、住居地の届出、所属機関に関する届出については、本人にも分かりやすく説明しておくことが大切です。

<関連ページ>

【2026年改正】外国人雇用管理指針とは?事業主が見直すべき対応ポイント – 松島社会保険労務士法人

外国人労働者への案内・相談窓口を活用する

出入国在留管理庁では、手続き漏れを防ぐために各種リーフレットやガイダンス資料を用意しています。入社時や内定時のタイミングで外国人本人へ共有しておきましょう。

出入国在留管理庁配布資料:

出入国在留管理庁 中長期在留者のための手続きガイド

また、企業担当者も同様の情報を把握し、手続きで不明点が生じた場合は、公的な相談窓口をスムーズに案内・活用できるよう準備しておくことをおすすめします。

・外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)

外国人在留支援センター | 出入国在留管理庁

・外国人在留総合インフォメーションセンター

外国人在留総合インフォメーションセンター等 | 出入国在留管理庁

まとめ|外国人雇用では入国前から確認体制を整えましょう

外国人材の雇用・受入れにおいては、悪意のない手続き漏れであっても、企業・本人双方に罰則や在留手続き上の不利益が生じる可能性があります。

企業側のハローワークへの届出だけでなく、本人側に必要な手続きのフォローや、在留資格・在留期間の管理など、企業側も主体となった確認体制を整えることが重要です。

各種ガイドラインや相談窓口も積極的に活用し、安全で確実な外国人材の受入れを実践していきましょう。

 

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